そもそも「メタバース」の定義は? VR、AR、MR、XRの違いは? など、メタバース関連のニュースや記事を理解するために必要となる基本的な用語を解説します。
メタバース
メタバースという言葉には厳密な定義はなく解釈の幅がありますが、おおむね共通する認識は以下のとおりとなっています。
- 現実世界と同等のコミュニケーション、経済活動が可能なオンライン上のバーチャル空間
- 3次元のインターネット
メタバースという言葉自体は、SF作家ニール・スティーブンスンの1992年の作品スノウ・クラッシュに由来しています。
スノウ・クラッシュ
SF作家ニール・スティーブンスンの1992年の作品。昨今メタバースの語源として語られることが多くなりました。高速宅配ピザ配達員が主人公のストーリー。オススメです。
VR(Virtual Reality):仮想現実
現物ではなくそこに実体はないが、果たす機能など本質は現実・実態と変わらない環境を作り出す技術。専用のゴーグルでユーザーの視界を覆い周囲360°の映像を映すことで、実際にその空間にいるような感覚が得られます。映像の中を自由に移動して物体を動かすことができるものも存在します。
Virtual Realityという言葉そのものは、詩人・俳優のアントナン・アルトー(1896.9.4-1948.3.4)の造語。コンセプトとしては、スタンリイ・G・ワインボウムによる1935年の作品Pygmalion’s Spectaclesに、初めてゴーグル型のVRシステムが登場。実際にVRゴーグルが現実のものになったのは、ユタ大学のアイバン・サザランドらが1960年代に開発したThe Sword of Damoclesが最初。(今の概念でいうとARに近いものでした)
AR(Augmented Reality):拡張現実
現実の風景に映像や文字などの視覚情報を重ねて表示する技術。ある場所でスマホカメラをかざすと、撮影中の画像に重ねてCG画像を表示するPokemon GOなどのアプリがARの一例です。
VRが仮想世界を現実のように見せるのに対し、ARはあくまでも現実世界を主体として画像やテキスト情報を加えて世界を「拡張」します。スマホでも扱える手軽さからコンテンツがシェアされやすいというメリットがあります。ARという概念が生まれたのは1990年代の初めごろでした。
MR(Mixed Reality):複合現実
VR同様に専用のゴーグルを装着し、AR同様に現実世界にCGを重ねて映し出します。目の前の空間に表示させた3D映像を自由な角度から見たり、タッチして操作することができる点がARと異なります。現実世界と仮想世界を3次元的に融合させて、相互にリアルタイムで影響し合う点が、VR、ARとの違いになります。
MRの概念は1994年にカナダ・トロント大学のポール・ミルグラムらによってはじめて提唱されました。MRを実現した製品は2015年1月に発表されたMicrosoft HoloLensが最初です。
SR(Substitutional Reality):代替現実
VR同様に専用のゴーグルを装着し、現在の実映像と同じ場所で撮影した過去映像とを織り交ぜて表示することにより、現在には存在しない人物や事象が現在の空間に存在しているかのように錯覚させる技術です。
第1回 代替現実でいともたやすく現実は崩壊する | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
XR(Cross Reality, Extended reality):クロスリアリティ または エクステンデッドリアリティ
現実世界と仮想世界を融合して現実にはないものを知覚できる技術の総称。VR、AR、MR、SRはいずれもXRに含まれます。
Unity
Unity Technologiesが開発・販売しているゲームエンジン。主にC#を用いたプログラミングでコンテンツの開発が可能です。PC(Windows、macOS)、モバイル(iOS、Android)、ウェブブラウザ(WebGL)、ゲーム機(PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch等)などをサポートしており、VR/AR/MR機器向けのコンテンツ開発にも対応しています。
Unreal Engine
Epic Gamesが開発・販売しているゲームエンジン。iOS、Android、Nintendo Switch、PlayStation 4、Xbox Oneなどをサポートしています。
デジタルツイン
現実世界の物理的資産、プロセス、人、場所、システムなどをコンピュータ上で再現したもの。とくに、現実世界の対象の状態や位置情報を、センサーを用いて収集し、リアルタイムに再現したものを指すことが多いようです。
デジタルツインを用いて現実に限りなく近いシミュレーションをすることで、現実の製品やサービス、製造工程、システムなど最適化することが可能となります。
ミラーワールド
現実の都市や社会のすべてが1対1でデジタル化された世界を表現する用語。実際の世界のすべてのものがデータ上にデジタルツインとして存在する様を、鏡に映った世界になぞらえています。第一のプラットフォーム「Web」、第二のプラットフォーム「SNS」に続く第三のプラットフォームとされる場合もあります。
VPS(ビジュアル ポジショニング システム)
画像認識の技術等を用いて現実世界の位置合わせを行うことにより、端末がある場所や向きを特定する技術。AR、自動運転などに利用されます。
VPSではあらかじめ用意しておいた3Dマップ情報と、カメラで取得した特徴点の情報をもとに、位置合わせを行います。誤差を数cmに抑えることができるため、ARのオブジェクトを正確な位置に出現させることが可能となります。
メタハラ
メタバースのワールド内で、ある程度の匿名性のもと、他人が利用するアバターに対し、セクハラや侮辱・罵倒、ビジネス利用におけるパワハラなど、各種ハラスメントを行うこと。対面している時よりもうかつに、あるいは、故意に行われるケースが散見され、新たな社会問題となっています。
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